充実した夏休みを過ごすためのコツはあるのか。産業医の武神健之さんは「働く人は無意識ながらも日々緊張感を持って過ごしている。夏休みにこの緊張感を区切ることができると、秋以降も元気に働ける」という――。
キャンプ
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夏休みの過ごし方は秋以降にも影響する

新型コロナウイルス感染症も落ち着き、もうすぐ4年ぶりに規制のない夏休みがはじまります。

9月の産業医面談では、よく夏休みの話題が出てきます。その中で、日頃の疲労やストレスを解消できた人とできなかった人がいること、それが秋以降のメンタルヘルスに大きな影響があることを、私は経験から学んできました。

そこで今回は、疲労やストレスから回復できる夏休みと、回復できない夏休みの過ごし方について、書かせていただきます。少しでもお役に立てば光栄です。

大雨でキャンプが中止になったAさん

私のクライエントに勤めるAさんは、毎年夏は息子2人と一緒に、父子3人でキャンプに行っていました。昨年の9月、面談に来られたAさんに夏休みはどうだったかお伺いしたところ、子供たちも大きくなったので新しい大きめのテントを買ったが、キャンプに行く前日からの大雨で河川氾濫の危険があり、キャンプ場が閉鎖してしまったとのことでした。前日から予約して行けるところもなく、Aさんも子供たちもショックでした。

そこで、テントは新品だからと家のリビングルームを片付けテントをはって2日間子供たちと寝袋で眠り、食事も軒先でバーナーを使いみんなで作り、キッチンは使わなかったとのこと。キャンプには行けなかったけれど、キャンプごっこで非日常感を味わうことはでき、楽しい“おうちキャンプ”だったようです。ちなみに、奥様は予定通り友達と旅行に行くことができてご満足だったとのこと。

Aさんは、計画通りのキャンプはできませんでしたが、柔軟に計画を変更することで、非日常感を味わい、いい気分転換ができたようです。きっと日頃の疲れやストレスも解消でき、秋以降もしっかり働けると思いました。