鍛えれば鍛えるほど、脳は複雑に進化する
学習で脳の体積を増やすといっても、脳そのものを大きくするわけではありません。「より複雑な脳に成長する」ということです。
脳の血流を高めて活性化させ、そのうえで脳をたくさん働かせることで、脳の細胞には“ある変化”が生じます。脳の神経細胞と神経細胞の間をつなぐ神経線維が長くなったり、どんどん枝分かれしていくようになるのです。
私たちが頭を働かせているとき、脳の神経細胞の間では、「解決=処理」のために、どの細胞と手をつないで情報をやりとりすれば最適な答えが得られるか、何度もトライアル・アンド・エラーが行われています。
脳の中に大容量の高速ネットワークをつくろう
このとき、細胞間の神経線維がより多かったり、より太かったりするほうが、情報のやりとりは大量かつスムーズになります。片側一車線の道路より、片側三車線の広い高速道路を通るほうが、ずっと交通量が多くなるのと同じ理屈です。
つまり、脳の中に情報をやりとりする、たくさんの高速ネットワークを持っている人が、「頭のいい人」だということ。この頭の中の高速ネットワークは鍛えれば鍛えるほど、増えていきます。
その結果、前頭前野の神経回路はさらに複雑になり、より処理速度が速くなって、作業領域も大きく進化する……というわけです。