そこから大須商店街連盟の活動も活発になった。各通りの代表者が集まって、知恵を絞り、街のことを真剣に考えるようになっていった。

上述した通り、90年代初頭のバブル崩壊後に大須商店街は一時期低迷するも、2000年代に入ると古着屋などが流行して、若者が大勢やってくるようになった。さらには、アニメやメイドカフェなどのオタクカルチャーの盛り上がり、そして10年ほど前からの食べ歩きブームと、切れ目なく時代、時代で活力を維持してきた。

大須観音には多くの海外観光客も訪れる
筆者撮影
大須観音には多くの海外観光客も訪れる

今回、そんな大須商店街の飛躍について、当事者への取材を進めていくと、大きく3つの成功のポイントが浮かび上がってきた。

なぜ大須商店街は人気スポットに生まれ変われたのか

ポイントの1つ目が、人を育てる力だ。その代表例が「実行委員長制度」。大須商店街の花形イベントである大須大道町人祭の実行委員長は、一生に一度しかできないルールになっている。これによってマンネリ化や権力の集中を防ぐほか、やる気さえあれば誰にでも平等にチャンスがある。

「実行委員長が毎年変わるのは人材確保、育成のため。これだけの予算を使っていいから、責任を持って頑張りなさいよと発破をかけます。祭りのために数カ月間は商売そっちのけでやらないといけないけど、達成感は大きいです。私も、井上くんもそうですけど、責任者をやったことで商店街の活動に対する意義が生まれました。今の連盟の執行部はほぼ全員が実行委員長を経験しています」(堀田さん)

とはいえ、一人に責任を押し付けることはない。先輩など周囲がサポートしてくれる体制ができている。2019年に大須大道町人祭の実行委員長を務めた井上さんは次のように話す。

「若手の声にもちゃんと耳を傾けてくれることが嬉しい」と語る井上誠さん(右)
筆者撮影
「若手の声にもちゃんと耳を傾けてくれることが嬉しい」と語る井上誠さん(右)