若い商店主がチャレンジできる環境がある

「きちんとフォローしてくれるし、やりたいと思ったことを頭ごなしに否定されない。『とりあえずやってみゃー』と言ってもらえます。いい教育のされ方をしているなと実感します。そして、ちょっとした成功体験が増えていくと、もっと一緒にやろうという意識も芽生えます。実際、商店街連盟に携わってなかったけど、実行委員長を経験してから街との関わりが深くなった人もいますね」

若者でもチャレンジできる環境がある。それを可能にするのは失敗を許容する街の文化も大きい。

「失敗したら2度とやらせない、とはならない。やることに意義があるから、たとえ失敗しても、なぜダメだったのかを考えて、次は違うアプローチを取ればいいだけ。責任者になった人間が失敗して責任を取るだけだと、それで終わってしまいます。商店街は会社ではないので、利益だけを求めるのではなくて、人を集めて、イベントを成功させるだけでも十分に価値があります。僕なんて、若い頃はむちゃんこやっていた人間で、失敗もした。そういうことにも上の人たちが目をつむってくれました。ありがたいし、それで責任感も芽生えますよね」(堀田さん)

「大須ドリーム」をつかむべく“よそ者”が集まる

2つ目が、よそ者を広く受け入れるオープン性である。

全国各地の商店街のシャッターが閉まっているのは、オーナーの高齢化などによる事業承継問題が主な原因だが、だからといって空き店舗をおいそれと他人に貸さないため、状況が変わらないままになっていると聞く。

ところが、大須ではテナントが空いたら基本的にすぐにオーナーは貸し出す。大須商店街は現在、約1200店舗のうち毎年80~100店舗が入れ替わるというが、5年も10年もシャッターが閉まり続けている店はほぼないという。そこには貸す相手を選ばないという柔軟さもある。

「大須には外国人が店を開いていたり、住んでいたりするケースが多いのですが、それは大家さんが躊躇ちゅうちょなく賃貸のOKを出すから。差別なく他人を受け入れる街なんです。例えば、全身タトゥーの一見怖そうな若者が『店をやりたい』と訪ねてきたとして、もしかしたら名駅や栄では借りられないかもしれないけど、大須は全然問題なく、平気で貸します。いざ入居すると、そういう若者はいい子も多くて、街のために活躍してくれますよ」

ブラジル、ベトナム、韓国など、実に多国籍な飲食店が集まる
筆者撮影
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