非世襲候補の受け皿が野党にしかないことの問題
現職優先の下で、新人が党の公認を受けるのは難しい。ところが、世襲候補の場合、現職である親などから地盤を引き継ぐので、新人でも党の公認を受けられる。しかも、世襲候補は、地盤、看板、カバン(金)の三バンを引き継ぐので、当選の確率はさらに高まる。しかも、世襲議員となれば、新人候補であっても当選する確率は6割以上に跳ね上がる。
こうして自民党は世襲議員だらけとなった。そもそも親が国会議員だというわけで能力や適性があるか分からない人が国会議員となり、またその後も選挙区に競争者がいないので真面目に政策などを勉強することもない。これは極めて不幸なことである。本来国民全体の中から候補者や国会議員は選出されるべきなのに、現職議員の家族の中からしか、リクルートできないことになってしまうからである。
自民党に世襲候補が多くなる中で、非世襲候補は野党からの立候補を模索することになる。野党は非世襲候補の受け皿になるが、与党と主義主張が異なる人が野党候補になるわけではなくなる。野党は第2自民党となる。
解決策は予備選導入
今の政治では、個々の政治家が素質や能力を磨かなくても済むシステムになっている。この問題を解決するためには、与野党の公認候補選びに、アメリカの政党の候補者選びのような予備選挙を導入すべきである。党員の投票で決まるので、今の公募制とことなり、候補者選びの透明性は格段に高まる。地方政治のボスの力は弱まる。
現職であっても、支持を失えば、次の国政選挙の際の予備選挙で敗れ、党の公認候補となれない。ボーッとしていては議席を維持できないとすれば、必死で政策の勉強などを行うだろう。非世襲候補であっても、能力、魅力があれば、現職に代わり、公認候補となれる。