JR東海も「聞く耳」くらいは持つべき

筆者も、ここまでこじれたリニア問題を一刻も早く前進させるためには、川勝知事が再三求めてきた静岡空港新駅の設置について、JR東海が真っ向から否定するのではなく、「聞く耳」を持つしかないと考える。

では、どうすれば静岡空港新駅の設置への道が開けるのか?

静岡県はこだま号の停車を想定しているが、筆者はのぞみ号のみの停車駅としてしまえば、先述した駅間の距離の問題が解消できると考える。

新横浜駅以西の停車駅を、静岡空港―名古屋―京都―大阪としてしまえばいいのだ。

富士山の見える景色を走る新幹線
写真=iStock.com/DoctorEgg
※写真はイメージです

こうなれば、コロナ禍以前に直行便のあった中国、台湾、韓国などからのインバウンドにとって非常に便利となる。国際便などの離発着に合わせたのぞみ号停車ダイヤをつくればいい。富士山観光などを終えた帰国便にもピッタリとあてはまる。

リニア工事の水環境問題でクローズアップされた大井川流域10市町約72万人にとっても、のぞみ号のほうが非常に便利となる。のぞみ号は他の静岡県内の駅はノンストップだから、東京、名古屋、京都、大阪など各方面へ出掛けるのに使い勝手もよい。インバウンドだけでなく県内外の利用客なども大幅に増えて、大井川流域の経済的発展につながり、川勝知事の求める地域振興策にもつながる。

将来的には、現在2500メートルの滑走路を3000メートルへ拡大して、米国、ヨーロッパ便を誘致することも可能かもしれない。長崎知事が「画期的な新駅」と高く評価した通りになるはずだ。

退路を断ってJR東海に頭を下げられるか

ただ、ここまでリニア問題がこじれた中で、静岡空港新駅設置が可能なのか?

川勝知事は石川前知事に倣い、単身でJR東海本社に出向き、頭を下げるしかない。リニア問題解決と引き換えに静岡空港新駅設置を約束させることだ。

JR東海が拒否できないように、石川前知事と同様に出処進退を明らかにして事に臨むしかない。そんな川勝知事の思い切った決断を、リニア問題解決を川勝知事に一任した大井川流域の首長たちは強く望んでいるはずだ。

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