校長の仕事は「管理」ではなく「マネジメント」

以上は基礎編と言えるかもしれない。

管理というのは処理仕事であり、ここまでなら教頭がしっかりしていれば、たいてい達成できる。次段階では、校長が仕事のできる人物であるかどうかがまさに問われるだろう。

校長の仕事は、「管理」ではなく「マネジメント」だ。学校の教育活動を普段通り、事故なく、つつがなく進めるのが「管理」。学校の教育活動に付加価値を付け、クリエイティブに運営するのが「マネジメント」。主として後者が、校長の役割だ。

だから、あなたがもし保護者で、自分の学校の校長の力量を見極めたいなら、次の3つの仕事をやっているかどうかで判断したらいかがだろう。

ここからはさしずめ、応用編だ。

①制服の値段の課題を解決しているか

制服問題である。ここでは要不要問題ではなく、価格問題を取り上げる。

制服がある学校では、相変わらず高価格のまま何のイノベーションも図っていないとしたら、そこは時代の流れに鈍感な場合が多い。

何重にもなった流通網を廃して、メーカー直販で生徒のスマホからの発注を行なえば、必ずコストは下がる。

「いやいや、制服は一人ひとり採寸するし、オーダー製品だから高くて当たり前だ」

もしも咄嗟にそう思うとしたら、それは誤解だ。保護者や先生のそんな常識はすぐに忘れてほしい。制服はオーダーメードではなく、既製服なのだ。つまり採寸するのは、せいぜい5つ(S、M、L、LL、XL)くらいのパターンで普通の既製服と同じようにあらかじめ作られたものから、この子にはこのサイズ、あの子にはあのサイズと、少し大きめのサイズを選んでいるに過ぎない。それでカバーできない特殊なサイズの子だけ、直している。

「制服は高くて当たり前」は呪縛だった

「採寸する」=「オーダーメード」=「高くて当たり前」は、日本の保護者と教員のすべてにかけられた呪縛だった。そしてそれは昔話になった。今や、生徒は自分のサイズをスマホで入力して、メーカーに直接発注することができる時代だ。彼らはすでに、楽天やアマゾンやYahoo!やZOZOなど、ネットを通した購買に慣れている。

日本の学生
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申し訳ないが、長年お世話になった小売店には遠慮してもらって直販体制を敷くことで、実際2割の価格ダウンが可能だ。私自身が「制服のスマホ発注」を実践した一条高校では、3年以上、生徒のスマホからの発注を続けているが、一件の事故もないと聞く。具体的な価格については、当時の報道記事を引用しよう。

「現行の制服(上着、冬夏のスカート・ズボン、冬夏のシャツの計5点の合計税込金額)は男子で4万7550円、女子で5万1950円。対して新制服の税込み価格は男子生徒向けのAタイプで3万7550円、女子生徒向けのBタイプで4万1950円と、それぞれ1万円安くなるという」(ハフポスト日本版/2018年3月20日付)

このシステムを共同開発してくれた制服メーカーの瀧本株式会社によると、コロナ禍で販売店による採寸が難しくなったこともあり、近年も問い合わせが相次ぎ、導入校も増えているという。