古い百科事典や古い文学全集には要注意だ

②図書室を活用しているか

もし、あなたの息子や娘を通わせている学校の図書室に、いまだに20年、30年前に寄贈された古い百科事典が並んでいるようなら、そこに子どもを近づけてはいけない。地名をはじめ、更新されていない事実の表記だらけだからだ。

同じように、寄贈された古い文学全集も要注意だ。上下二段の細かい字の本をもはや子どもたちは読まないし、埃だらけで不衛生だ。

私は「よのなか科」の授業などで訪問した学校の図書室には、ほぼ必ず寄っている。校長が同行することもあるが、図書室に入れば瞬間的に、そこが児童生徒によく利用されている場所かどうかがわかる。司書や司書的な役割を果たす国語の先生がいくら頑張ったとしても、魅力のない図書室には子どもたちは寄りつかない。

それでも小学校の図書室はだいぶ整備が進んだようだが、中学校はどうだろう。高校には通常、専任の司書がいるはずだから、まだいいかもしれない。

学校の図書室
写真=iStock.com/urbancow
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「図書室の改装」で利用者は10倍になった

和田中の図書室も、図書委員の数が1日の利用者の数と同じだった。カビ臭く、奥まった場所にあることもあり、暗かった。

情報社会なのに、これでは何とも情けない。私は一念発起し、「図書室の改装」を決めた。図書室改造の専門家である児童文学評論家の赤木かん子さんに相談して大規模に改装したのだ。予算をかけられる作業ではないので、保護者や地域社会のボランティアの方々に協力してもらい、丸4日間かけて行なった。詳細は拙著『藤原流200字意見文トレーニング』(光村図書出版)の「図書室をどう改造すれば、子どもたちが集まるか」に書いたので、興味がある方は読んでみてほしい。

ここではポイントだけ記すことにする。結果として、利用者が10倍になったのだ。のちに、この図書室改造ボランティアに参加したメンバーを中心に、地域本部に図書室の運営を委託することにもつながっていく。想像以上の広がりだった。

お母さんたちは、カーテンやテーブルクロスを既製品ではなく手作りしてくれた。端切れの生地を買い集めて、家庭科室のミシンで縫ってしつらえてくれたのだ。

お父さんたちは、すべての本をいったん本棚から出してから、書棚を磨いたり、A4判の自然科学書が入るようにサイズを変える改修を日曜大工のノリでやってくれた。棚の奥から、いつ紛れ込んだのか、スズメのミイラが見つかったのには皆で驚嘆したものだ。

子どもたちはその間に、蛍光灯を一つひとつ外して磨き、反射板にも雑巾掛けをしていった。ガラスも一枚一枚拭いていく。みるみるうちに綺麗になった。