「アメリカにより管理された戦争」
【手嶋】佐藤さんはモスクワで、私はワシントンで、永きにわたった東西冷戦の終焉を見届けました。あのとき、超大国アメリカは、民主主義が勝利して自由の理念に世界が染めあげられていくというユーフォリアに包まれていました。しかし、いまやプーチンのロシアが力で隣国の領土を奪い、ドイツもその引力に引き寄せられているように見えた。そんな“プーチンのロシア”をイラクやアフガンでの戦争のようにアメリカ兵の血を流さずに弱体化させることができる、そう考えている。
【佐藤】ですから私は、この戦争を、「アメリカにより管理された戦争」と呼んでいます。供与する武器は、手を替え品を替え、NATO諸国もコントロールしながら、秩序に逆らったロシアの侵攻を食い止める。しかし、ウクライナに第三次世界大戦のレッドラインは、絶対に越えさせない。繰り返しになりますが、この戦争におけるアメリカの真の目的は、ロシアの弱体化です。ウクライナは、その道具に過ぎません。