フランスは観光大国だ。観光収入も支出も多い。フランス在住のライター髙崎順子さんは「ツーリズムはフランスにおいて、国の重要産業セクターとして認められている。バカンスにおける1世帯当たりの予算は“月収1カ月分”に当たる金額にのぼる」という――。

※本稿は、髙崎順子『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

パラソルとチェア
写真=iStock.com/gradyreese
※写真はイメージです

観光収入も、支出も多いフランス

ツーリズムはフランスにおいて、国の重要産業セクターとして認められています。観光業の国際団体・世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の各国資料によると、新型コロナ禍前の2019年、フランスにおける観光関連産業寄与額の対GDP比は8.4%。ちなみに全世界での同年・同指標は10.3%、日本のそれは7.3%でした(*1)

フランス観光業の重要度は国内のみにとどまらず、各種世界統計でも、上位常連国の一角を占めています。日本の国土交通省が発表している「観光白書」の国際比較資料が日本語で分かりやすくまとまっているので、図表を引用しましょう(*2)

まず観光業がもたらす収入をまとめた、国際観光収入ランキングから。最新資料は世界がパンデミックに見舞われ人の移動が激減した2020年のデータに基づいていますが、それでもフランスはアメリカに次いで、世界2位の観光収入を記録しました(*3・図表1)。同じ年の観光支出ランキングでは世界4位に位置(*4・図表2)

フランスは観光で得る収入だけではなく、支出する額も世界有数という実態が表れています。また外国からの旅行者受け入れは年間4千万人の世界第1位で、2位のイタリアに1500万人近く差をつけています(*5・図表3)