おしゃれの極意は「足し算」ではなく「引き算」
ファッションに関わる人たちの間では、これがおしゃれの極意とさえ言い伝えられているシャネルの金言!
大事な打ちあわせで勝負を賭けるとき、今日こそ愛を打ち明けなくてはいけないとき、大勢が集まるパーティで埋もれないようにしなくてはという気負いがあるとき、意気込みがあればあるほど、人はプラス思考で装うもの。
心理学的にも、なにかを得たい、いまより得をしたいというときには、「味方」だと思い込んでいるアクセサリーや、派手な服などを身に着けると安心することも事実。
そこを、出がけに全身を見直してなにか一つ外しなさい! と言うのだから、これは結構な難題である。
だって、「キマっている」と思うからこそ、出かけようとしているのだ。そのときにあえてなにかを引き算するというのは、なかなかの難題もいいところ。
それが難なくできるようになったら、あなたも着こなしの達人。
おしゃれって、そういうことなのだ。
香水「No.5」に込めた女性たちへのメッセージ
「自分へのご褒美」という言葉はなかったにせよ、自分のために香水を買うことを奨励するなんて、1920年代では、まだ衝撃的なことだ。
財力を男に依存していた時代には、女は自分のために香水や宝石といった高価なものは、まず買えなかった。妻や恋人への最高の贈り物として販売されていたのだから、購入ターゲットも男だったと言える。
贈られるものはもらっておいてもいいかもしれないが、自分が自分らしくなる香りを自分で選んで購入して、身に着ける。それが20世紀の新しいおしゃれな女性像であることを、「No.5」という香水をつくって売り出したシャネルは伝えた。
香水は女にとって重要なおしゃれアイテム。
異性と会うときや、さらに親密に愛を交わすときなどの、大人の女としての証しでもあるのだから。
エロチックで挑発的な自分の香りが、贈った男の好みであっては悲しい。自分だけのお気に入りの香りを自分のものにしましょう。
シャネルは女たちを煽った。
同時に、女も香水くらい買えるように仕事をして自立しなさい。
自由な女は男に頼ることなく金銭面でも自立していないといけない。
仕事を持つということは、お金を自分で自由にできるということなのだ。
シャネルは生み出す製品にその想いを込めたことだろう。