18歳でも詐欺師に狙われる
さて、なぜ成年年齢の引き下げが金融教育の流れに勢いを与えたと考えるのでしょうか。
未成年者の場合、契約には親の同意が必要になります。
仮に親の同意を得ないままに未成年者が契約をした場合には、民法で定められた「未成年者取消権」によって、その契約を取り消すことができます。
つまり、成年年齢が18歳に引き下げられてしまうと、これまでは民法で保護されていた18歳、19歳が保護の対象から外れてしまうのです。
たとえば、留年や浪人をせずにストレートで大学に進学した場合、誕生日にもよりますが、18歳か19歳で大学生活を始めることになるでしょう。
大学生になると人間関係は一気に広がります。
大学のクラスメート、サークルの仲間、バイト先の同僚や先輩など、多種多様な人たちと関係を構築します。
実家から離れて1人暮らしを始めれば、環境はガラリと変わるはずです。
新たに知り合った人たちが皆善良な人であればいいのですが、なかには詐欺師のような人がいるかもしれません。
詐欺師たちはラクをしてお金を稼ぐために、あらゆる可能性を検討しています。
これまでは民法で保護されていた世間知らずの18歳、19歳が成年として扱われるようになると知れば、確実に詐欺の対象として狙ってくるでしょう。
故に、成年年齢が引き下げられた2022年は、例年以上に金融教育の重要性が説かれることになったと考えるのです。