授業時間全体の10%程度
ただし、高校の家庭科での金融教育は、授業時間全体の10%程度を使うだけであり、多くの方が期待されるほど充実した内容にはなっていないというのが現実です。
しかし、その限られた時間の中でも、偏ることなく幅広く生活に関わるかたちで金融について学んでいきます。
進学や就職、結婚、子育て、住宅取得等のライフイベントやライフステージによって、必要となる金額や支出を事前にシミュレーションし、どのようにしてお金を貯め、使うべきか。そして、足りない場合や将来に備えるべく、株式や投資信託への投資といった資産運用、もしもの時のための生命保険や損害保険など、金融商品についても学びます。
また、多くの学生が被害にあっている特殊詐欺など、消費者トラブルに関する知識と、自らの身を守る方法なども学びます。
お金の話をしたがらないと言われてきた日本人が高校の授業の中で金融商品や資産形成について学ぶというのですから、隔世の感を禁じえません。
18歳からクレジットカード
金融教育が話題になっている2つ目の理由は、2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことでしょう。
明治時代から約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていました。
しかし、民法改正により2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたのです。
成年年齢が引き下げられると何が変わるのでしょうか。
民法が定めている成年年齢は、「一人で契約をすることができる年齢」という意味と、「父母の親権に服さなくなる年齢」という2つの意味があります。
分かりやすく言い換えれば、「成年に達すると親の同意を得なくても自分の意思でさまざまな契約ができるようになる」ということです。
つまり、18歳になると携帯電話や賃貸の契約や、クレジットカードを作ったりすることが1人でできるということなのです。
ただし、飲酒や禁煙、競馬などの公営競技に関する制限年齢は20歳のままであることには注意が必要です。