20年7月時点で、課長・室長級の女性割合は5.9%
官界に根付く“男尊女卑”とも言える現状に、政府も手をこまぬいているわけではない。中央省庁の女性幹部登用に、第五次男女共同参画基本計画で目標を定めている。これは2020年に設定した25年度末までの目標になるが、毎年度の総合職採用者の35%以上を女性とする目標を掲げており、21年度の実績は34.1%とあと一歩のところまできた。今や、毎年採用されるキャリアの3分の1強が女性で占められている。キャリア官僚への女性の採用比率は、かつての少数派からかなりの勢力に拡大しつつあるのが実情だ。
この計画では同様に、事務次官や局長など指定職に占める女性の割合を8%に、課長や室長級は10%に増やす方針を掲げている。ちなみに、設定時の20年7月時点の指定職の女性比率は4.4%、課長・室長級のそれは5.9%にとどまり、相当のペースで女性登用を進めないと低水準からの脱却は絵に描いた餅で終わる。
総合職志望者のうち4割が女性になった
将来の女性比率上昇を睨んだ時、明るい兆しも見え始めている。21年度の国家公務員総合職試験の志望者のうち、女性は5772人で全体の40.3%を占め、初めて4割を超えた。
ここ数年、志望者に占める女性の割合が増えているのは確かで、女性登用の面では歓迎すべき徴候といえる。ただし、男性を含む総合職の志望者総数が減った中での4割超えであり、男性激減に伴う押し上げ効果を考えると素直に喜べない数字ではある。
民間の管理職に占める女性の割合について、金融庁は上場企業を対象に開示を義務づける方針をまとめた。早ければ、23年の有価証券報告書から適用する。
管理的職業従事者に占める女性の割合は20年で13.3%、欧米の3~4割に比べると日本の比率は極めて低く、いかに押し上げるかが問われる。ただし、民間企業の尻を叩こうとする金融庁の意気込みもわからないではないが、何ごとも隗より始めよで、霞が関が女性次官を増やすなど規範を示すことが先決ではないか。