自分より他人を優先するベテラン社員

睡眠時間が4時間未満でなくても、面談で「もうすぐ潰れそうだ」と感じる人がいます。それが3つめの、「朝起きられないのが怖くなって、ソファで寝るようになった人」です。

Bさんは50代の独身女性、ベテラン社員として部下から何かと相談を持ちかけられやすい方でした。嫌な顔をせず人の相談に乗り、困っている人は惜しみなく助ける彼女は、職場では誰にも慕われる人でした。が、いつも自分よりも他人を優先するあまり残業は当たり前となっており、とうとう上司が体調を心配して、産業医面談を受けるように言ってくれたのでした。

面談で体調を確認すると、この数年間、睡眠は取れているものの熟睡感はなく、疲労が溜まっている印象でした。すぐに通院すべき状況ではなかったため、しばらくの間産業医面談に来ていただき、お話ししましょうとなりました。

数回面談をする中で、抑うつ気分などの精神症状はありませんでしたが、「頼まれたことはやらなければならない」、「私なんかを頼ってくれる……」などなど、私にも彼女の硬過ぎる考え方や自己評価が低い性格が理解できるようになってきました。しかし、いずれも、疲労の蓄積の原因には結びつきませんでした。

「遅刻が怖いから」ベッドではなくソファで寝ていた

ある時、面談の中で彼女が「夜中に気がついたらテレビ放送が終わっていた」と話しました。そこで、彼女がベッドでテレビを見ているのではなく、リビングのソファで寝ていることがわかりました。さらに聞いてみると、少し前に1回、寝坊して遅刻しかけたことがあり、それ以降、朝起きられないのが怖くなり、ベッドではなくソファで寝ているといいます。ソファベッドや3~4人がけのソファではなく、2人がけのソファに寝ているとのことでした。

シンプルなインテリアのリビングルームにソファー
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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本来、人は適切な寝床で十分に寝ることで疲労から回復したり、体調を整えたりしています。そのため、ソファで寝ることが習慣化すると、睡眠の質が低下し、身体に悪影響を及ぼします。まず、ソファでは適切な寝姿勢をとることができず、布団やベッドほどは寝心地が良くないため、睡眠の質が悪化します。特に深い眠りの時間が短くなるため、疲労回復効果が得られにくくなり、睡眠障害の悪化などが懸念されてしまいます。また、ソファで寝続けることは、腰痛や肩こりなどの身体的な不調を引き起こす原因にもなります。