日本にいながら脳内は「海外留学」させる

英語学習の最大の敵は日本語です。可能な限り、頭から、生活から、日本語を追い出しましょう。目にするものをなるべく英語に変えましょう。本当は、私はこの本を英語で書きたかったくらいです。

日本にいても、生活の英語化は十分にできます。周囲が日本語であっても、「自分の脳内は海外留学中」というふうに考えてみましょう。

ここでは、私が実践している9つの方法を紹介します。

① ニュースを英語にする

私は、英語ニュース中心の生活にして約6年経ちました。昔は狭い日本の些末なニュースにとらわれていたなと思います。日本のニュースやバラエティ番組は、グローバル視点で見ると知っていても知らなくてもどうでもいい話でいっぱいです。しかも、話が暗かったりする。

ニュースの英語化には、意外な副次効果がありました。ニュースを読んで精神的に落ち込むことが少なくなったことです。もちろん、英語圏のニュースも暗いものは多いです。銃による大量殺人、戦争、人種差別、ヘイトクライムなど、もっと救いようのない話題があります。しかし、日本のニュースよりも内容にバラエティがあり、登場人物も多いです。少し距離を持って捉えることもできます。日本のニュースの閉塞へいそく感でうつな気分になりがちの人は、ぜひ試してみてください。

「英語ニュース中心にすると、日本の話題に乗り遅れるのではないか」

そう心配になるかもしれませんが、日本で暮らしている限り、絶対にそんなことにはならないのでご安心ください。SNSや友人知人との会話、家族が見るテレビや交通広告など、知るべき日本社会のニュースは、遮断しようとしても自然に飛び込んできます。

目と耳から入れる情報は極力英語にする

英語圏の新聞系ニュースサイトは、日本よりも政治的スタンスが多彩です。日本では、読売新聞は保守で、朝日新聞はリベラルだなどと言われますが、それほど右と左の意見に差はないように思います。英語圏では、大手新聞社も保守とリベラルでは大きな差があります。いろいろ読み比べて、自分に合うニュースを見つけてください。

英語の新聞のオンライン有料購読を始め、Webブラウザーのスタートページに設定しましょう。おすすめは、総合力ならニューヨークタイムズ、経済中心ならウォールストリートジャーナルです。日本のニュースは、それぞれのアジア欄から読めます。

② 洋楽と英語ニュースを聴く

耳から入る言葉も英語にしましょう。

英語漬けになる方法として、最初にイメージするのが「洋楽を聴く」というアイデアだと思います。しかし、洋楽を聴いたら即英語がうまくなるかというと、それほどの効果はないと思います。効果があるなら、洋楽ファンは皆、もっと英語ペラペラになっているはずです。聴くだけでは、音楽として聞いてしまって、意味を理解しようとしないからです。

部屋の床に座ってヘッドホンをつけて目を閉じている女性
写真=iStock.com/yanjf
※写真はイメージです

リズムにのせて歌ってみたり、サビ周辺の歌詞を理解すると、学習につながるかなと思います。私は洋楽を日常的に聴いていますが、アーティストの登場するニュースに興味が持てるという副次メリットを感じています。

おすすめは、ニュースを英語で聴くことです。ただし、いきなり現地のニュースを聴くのはハードルが高いので、日本経済新聞社が運営するLissNを使うのがおすすめです。毎日数本の日経のニュースを英語学習者用に書き直した記事が、文章と音声で提供されます。対訳もあります。

LissNで半年程度、ニュースを聴くことに慣れたら、次の段階として、Voice of Americaや、カナダのGlobal Newsのような、英語が母国語ではない人のための英語ニュースがあります。ニュースの選択が日経新聞とはまったく違ったものになります。

「学習者用のサイトはかったるい」という人は、この段階を飛ばしてください。私も、この段階を背伸びして飛ばしてしまいました。一足飛びに、ニューヨークタイムズなどの本格的な英語のニュース、ポッドキャストに切り替えましょう。