「2024年問題」の解決に本当に必要なもの
再度述べるが、24年問題を解決するのに必要なのは、トラガールではない。
「運賃値上げ」と「労働環境改善」。この2つである。
本来、この働き方改革というのは、「トラックドライバーの労働環境の改善」であるはずなのに、毎度なぜか国もメディアも「荷物が運べなくなる」と、「荷物」のことばかり問題にしようとしており、まったく本質をついていない。
そもそも当事者であるトラックドライバーの多くは、現状、労働時間が減ることを歓迎していない。成果や売上に応じた額の給与が支払われる歩合制で働く人が多いトラックドライバーは、労働時間が減ると必然的に給料が減る。安定した基本給のある一般職の「残業できなくて給料が減る」の比ではないのだ。
国や識者は、そのドライバーの賃金の保障の話はせず、労働時間を短くすることばかりに躍起になる。
「トラガール」が救世主になることは絶対にない
「そうはいってもトラックドライバーの過労死が多いのは事実だ」とする識者もいる。
もちろん、労働時間と過労死の因果関係はあるはずだが、トラックドライバーの現場において、過労死に繋がり得るものは労働時間の長さだけではない。むしろ、先述したような数十キロの荷物を数百個も手荷役させられたり、トイレになるべく行かなくてすむよう、水分摂取を控えたり、炎天下の中でアイドリングストップで長時間荷待ちさせられたりするほうがよほど体に悪い。
停める場所もろくにないのに、4時間走ったら30分休まねばならないなど、休憩のタイミングすら決められており、4時間走った先に駐車場がなければ必然的に路駐になる。
停まっても違反、停まらなくても違反になる現状。そんな心的負担こそ過労死の原因になっているのではないか。
こうした改善がなされれば、嫌でも人材はトラック職に集まる。いや、これらが改善されないから、“トラガール”はおろか男性のドライバーだって入っていないのが現実なのではなかろうか。
無責任に“トラガール”などという言葉で人を呼び込んだところで、現実を知った人は3日ともたずに辞めていく。
外堀ばかり埋めようとせず、こうしたおかしな現場のルールや商習慣を見直し、「人が入ってきやすくなる労働環境を準備しておく」ことが、国がすべきことだと、強く思うのだ。