豊田自動織機所属で陸上女子の1000m、1500m、3000m日本記録保持者・田中希実(23)がプロ宣言した。スポーツライターの酒井政人さんは「日本の実業団チームでは現役を引退しても給料をもらえることが多いが、田中は古巣を飛び出てフリーになった。チームの縛りはなくなり、活動は自由になる一方、リスクを負うことになる」という――。
陸上女子・田中希実がプロ宣言した意味
2021年夏の東京五輪陸上女子1500mで8位入賞の快挙を果たし、女子1000m、1500m、3000mの日本記録保持者である田中希実(23)がNew Balance(ニューバランス)所属アスリートとして、2023年4月よりプロ選手になることを発表した。これまで実業団の豊田自動織機所属選手として活動してきた田中は記者会見の冒頭でこう話した。
「世界の舞台で戦える選手に近づいてこれたかなという自負はあったのですが、近頃は与えられた環境であったり、自分自身の甘えが目立ってしまうようなレースが増えてきました。私のなかで今までのガムシャラさや、ハングリー精神が失われてきているような気がしています。自分のこうしたいという思いを強固にして、より飛躍した成績を残せるように、この度、ニューバランスさんと今まで以上の強い関係でやっていくことを決意しました」