「自分は何を優先したいか」伝える努力を

医師も患者も人間ですから、相性という問題もあります。Aさんにとっての名医がBさんにとっての名医とは限りません。自分から意見を言ったり希望を述べたりするのが苦手で、多少権威的でもグイグイと引っ張ってくれるような医師がいいと思う人もいるかもしれません。

きちんとした数値目標を掲げて少々毒舌でも厳しめに指導してほしいというような人は、そういう医師を探せばいいと思います。ですから、相性というのは非常に大切です。友人から「いい先生よ」と言われて受診してみたところ、なんだか頼りなくて不安になった、というようなこともあるでしょう。

ただ、自分にとってよりよい医療ケアを受けたいのであれば、医師任せにするのではなく、自分は何を優先したいのか、不調に対してどのようなケアを望むのかなど、自分でしっかりと考え、それを伝える努力をしたほうがよいと思います。

そのうえで、ネットの口コミサイトなどを参考にするのもよいでしょう。よく、ネットの口コミはその人の主観が入りすぎていて客観性に乏しく、単なるクレイマーみたいな人の書き込みも多いのであてにならない、と言われたりします。

自分にとって話がしやすい医師かどうか

たしかに、書かれた口コミすべてを真に受けるべきではないと思いますし、専門性の高い病気についての診断の是非など、簡単には判断を下せないことも少なくありません。一方で、高齢になればなるほど、患者にとって評判がいい医者は、基本的にはいい医者だと考えてよいでしょう。

和田秀樹『70歳からは大学病院に行ってはいけない』(宝島社新書)
和田秀樹『70歳からは大学病院に行ってはいけない』(宝島社新書)

今日の治療指針』というアンチョコ本があるわけですから、よほどのヤブ医者でもない限り、治療内容はどこの医師にかかってもそう大きな差はありません。

そうであれば、きちんと話を聞いてくれる医者、安心感を与えてくれる医者、総じて口コミサイトの口コミで「いい先生」と評判になっているような医者であれば、十分によい医者候補の一人として有力だと言えるでしょう。

いずれにせよ、自分にとって話がしやすい医師であるということは、大切なポイントです。会って話を聞いてもらうだけでなんとなく気持ちが落ち着いてくる。薬を減らしたいと言ったら一緒になってその方策を考えてくれる。体に負担のかかるような治療をむやみに勧めてこない。高齢者にとっての理想のかかりつけ医はそんな医師ではないかと私は思っています。

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