こうじやみそなどの発酵食品も保水効果を発揮します。発酵食品の場合、たんぱく質を分解するので、やはり筋線維が縮みにくくなるのです。塩こうじなら絡めて焼くだけで味付けは不要。お弁当にもぴったりです。
チキンカツなど下味を付けたくない料理もありますよね。そんなときは切り方を変えてみましょう。
ポイントは筋線維を断つように切ること。むね肉を裏返すと、筋線維が通る方向がわかります。その線維に対して垂直に包丁を入れます。高級な焼き鳥屋さんに行くとむね肉のおいしさにびっくりすることがありますが、それは切り方を心得ているからなのです。
こうして水分を逃がさないよう工夫をするとうま味も保たれ、水溶性のビタミンB群が流れ出るのを最小限に抑えることもできます。もちろん、ゆでれば栄養は流れ出ますが、ゆで汁に卵とネギを加えて鶏スープにすれば問題なしです。
野菜は何がおすすめ?
一方、野菜にも家計の味方が存在します。それはもやしやカイワレなどのスプラウト(発芽野菜)。屋内で栽培されるので豪雨や猛暑などの異常気象で野菜が取れないときにも価格は安定しています。エンドウ豆を発芽させた豆苗なら豆のところを残してカットすれば、また芽が伸びて2、3回は使えるからお得です。子供と一緒に育てて“収穫”するのも楽しいでしょう。
スプラウトの栄養素は種類によって少しずつ異なりますが、全般的に含まれているのはビタミンE、ビタミンK、葉酸など。特に注目したいのは、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンです。
これはファイトケミカルの一種で、体の中の抗酸化力や解毒力を高めるといわれています。通常のブロッコリーにもスルフォラファンは含まれるのですが、スプラウトなら含有量は約10倍。さらに、最近は20倍以上という高濃度のブロッコリースーパースプラウトも登場しています。こちらは発芽3日目の新芽で、通常のスプラウトよりふわっと柔らかな食感が特徴です。
どちらも食べ方のポイントは生のままよくかむこと。スルフォラファンのもととなる物質がかむことでミロシナーゼという酵素と混ざり合い、スルフォラファンに変化するのです。
子供にしっかりかませたいなら、かみ応えのある食材と合わせるといいでしょう。ここで先ほどのむね肉の出番です。蒸したむね肉をトッピングしてサラダにしたり、チキンカツと合わせて胚芽入りのパンで挟めば、栄養バランスもバッチリ。物価高に負けず、おいしくて健康的な食卓をつくっていきましょう。