「クラス最高のカメラ体験を提供するため」とサムスンは弁明した

サムスンはGalaxyのカメラ性能のアピールに余念がなく、こうしたマーケティングを信じて購入したユーザーを裏切る形となった。

日本で発表された2020年6月付のプレスリリースでは、「Galaxy史上最高・1億画素超えの超高解像度カメラ搭載」「100倍スペースズーム搭載で遠景まで鮮明描写が可能に」とアピールしている。100倍ズームに関しては確かに、「光学ズームとデジタルズーム、AI処理を組み合わせることで」と述べ、AIが介在する旨を補足している。

だが、デジタルズームに続く「AI処理」のワードは、その場で撮影された写真の補正を想起させるものだ。ユーザーとしては、別画像を基に学習したパターンをAIが描き込んでいるとまでは、想定することが困難だ。

AI処理が用いられているとの簡単に説明する技術文書は存在したが、韓国語でしか掲載されておらず、世界的シェアを誇るサムスンとしては説明不足の状態であった。

騒動を受けてサムスンは3月15日、英文でプレスリリースを発表した。「あらゆる条件下でクラス最高のカメラ体験を提供する」目的で、AIにより「月を認識するエンジン」などを含む「シーンオプティマイザー」を搭載しているとの説明だ。

25倍以上のズーム倍率で月が検出されるなど特定の条件がそろった場合、「AI処理によるディテールアップエンジン」が適用されると説明している。機械学習の一種である「畳み込みニューラルネットワーク」が用いられるとしているが、詳細な説明はない。

ズームは嘘で、それらしいパターンを加えているだけ

リリースに掲載された簡易的なフローチャート(流れ図)によると、エンジンが撮影画像に詳細を描き足し、内部的に保持している高解像度の理想画像に似た状態になるまで画像に手を加え続けるようだ。

かんたんに述べると、Galaxyの実際のカメラではぼやけた画像しか撮影できないが、そこに「本物の月から学習した、何となくそれらしいパターン」を加筆することで解像感を演出している。

だが、存在しなかった細部を加筆する行為は、ズームとは呼ばない。「100倍ズーム」との宣伝には嘘があったといってよいだろう。

ヴァージは、リリースをもってしてもAI処理の内容が「説明不足」であり、この点がまさに炎上の主因になっていると指摘する。ぼやけた月の画像から鮮明な画像を生成してしまう現状、ユーザーのなかには「端的に言って(月以外の)あらゆるものを捏造している」との誤解も広まっており、火消しが追いついてない。