SNSには「加工された美男美女」があふれている

TikTokが2月にリリースした新機能「ボールド・グラマー」が、アメリカで物議を醸している。配信者の顔をリアルタイムで美男美女に変えるフィルターなのだが、フィルターとは判断できないほど加工が精巧なのだ。

動画撮影
写真=iStock.com/Phiromya Intawongpan
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フィルター機能を使って、自分の顔をスマホの画面に映し出すと、目は大きくなり、化粧が施されたように自動的に加工される。肌つやはよくなり一気に若返ったようになる。その影響をCNNやウォール・ストリート・ジャーナル紙など主要メディアが相次いで報じている。

TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアでは、最新の美顔フィルターを駆使した配信者たちが、現実にはあり得ないほどの美貌を振りまく。こうした影響もあり、以前から、配信プラットフォームを通じたルッキズムへの回帰が、問題視されていた。

ルッキズムは「外見至上主義」とも訳されるように、男女の顔立ちや体格に優劣をつけ、外見から相手を評価したり差別したりする行いをいう。近年相次ぐミスコンの廃止や見直しは、その代表例のひとつといえるだろう。美貌やスリムな体型を競うこの種の催しは、もはや時代錯誤とすら指摘されるようになった。

しかし今、こうしたフィルター機能の影響で、ありのままの自身の姿にコンプレックスを感じ、苦しみを抱える人は多い。米メディアは、SNSの利用者自身の心がダメージを受けていると警鐘を鳴らす。