長い時間を一緒に過ごすパートナーをどのように選べばいいのか。慶應義塾大学理工学部教授の満倉靖恵さんは「好きなもの・楽しいことの共通点が多い人のほうが付き合いやすいと多くの人は考えますが、脳波の実験結果から苦手なもの・嫌いなものが共通しているかどうかが重要な視点だとわかった」という――。

※本稿は、満倉靖恵『「フキハラ」の正体』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

別れのイメージを連想させるピクトグラム。
写真=iStock.com/hachiware
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「嫌い」なものが共通している人がベストパートナー

【フキハラとは】
「不機嫌ハラスメント」の略。
不機嫌な態度をとることで、相手に不快な思いをさせたり、過剰に気を遣わせたり、精神的な苦痛を与えること。
本人が意図している/いないに関わらず起こりうる。

他人の「不機嫌」を敏感にキャッチし、それに同調してしまう脳をもっている私たち人間は、他人の不機嫌まで抱え込んでしまう生き物だということもできます。

「好きなもの」「楽しいこと」の共通点が多い人のほうが付き合いやすいと多くの人は考えますが、長い時間を一緒に過ごす相手の場合は、「苦手なもの」「嫌いなもの」が共通しているかどうか、というのも重要な視点なのです。

例えば、あなたは犬が苦手で、パートナーは猫が苦手だとしましょう。

苦手な犬を見るたびにあなたのストレス度は上がる。これは当たり前のことです。でも実はそのとき、あなたのそばにいるパートナーのストレス度も上がっているのです。もちろんこれはあなたの発する「不機嫌ノーラ」(※)のせいです。

※編集部註:本書では、脳が伝える「不機嫌」な感情の電気信号を、「不機嫌な脳のオーラ」、略して「不機嫌ノーラ」と呼ぶ

つまり、あなたのパートナーは犬が苦手なわけでもないのに、犬がきっかけで「嫌な気分」になってしまうのです。

次に猫が現れれば、今度は逆のことが起こります。

あなた自身は猫が苦手なわけではないのに、なぜか「嫌な気分」になります。これもまた、猫を見たパートナーが発する「不機嫌ノーラ」のせいであることは言うまでもありません。つまり、あなたとあなたのパートナーは、犬を見たときも、猫を見たときも、結果として共に「嫌な気分」になるわけです。こんなことが起こるのは、二人の「苦手」が分かれているからです。もしも、二人の苦手が「猫」で一致していれば、二人が不機嫌になるのは「猫」を見たときだけなのです。

「苦手なもの」「嫌なもの」に共通点が多いほど、二人を不機嫌にする原因は少なくてすみます。