従業員に起きた劇的な効果

「配膳をベラボットが肩代わりすることで、従業員の身体的な負担を減らせます。実際に、ドリンクバーやトイレのチェック回数を増やせ、ピークタイムの準備も早めにできるようになりました。狙いはお客さま満足度の向上で、労働時間削減ではありません。このためベラボットの導入に伴って、フロア担当のスタッフの数を減らしてはいませんし、今後もその予定はありません」(花元さん)

従業員の負担軽減には予想以上の効果があった。ベラボットの導入店舗でデータをとったところ、従業員の歩数は42%減ったそうだ。フロアスタッフは多い時には1日1万歩になるそうで、それがほぼ半減というのはかなり楽だろう。片付け完了時間も35%短くなった。

また、ランチやディナーの混雑時間帯(ピークタイム)の客数をロボット導入店と導入していない店で比較すると、7.5%増えていたという。

すかいらーくグループでは、パート・アルバイトの上限年齢を75歳、正社員の定年を65歳に延長しているのだが、ロボット活用による歩行数の低下はいろいろな人が働きやすい環境づくりにも直結している。

ロボットと人間のよい分業

さらに「サービススタッフのストレスの軽減」という効果もあるだろう。

ファミリーレストランなどのカジュアルな飲食店では、従業員に失礼な態度をとる人をたまに見かける。「お客さまは神様だ」とでも思っているのだろうか。ベテランの従業員はそれでもニコニコと対応しているが、これではツラいだろうなと思う。ベラボットには、そうした負担を軽減する効果がある。

失礼なお客に対応したあとは、どんな従業員でも疲れるだろう。ベラボットの導入で、そうした不慮の事態を避けられれば、お客も従業員も、いつもニコニコでいられる。

もちろんお皿を落としたり、料理に過不足があったりなどイレギュラーな事態にはベラボットではなく、従業員が対応する。よい形で人間とロボットの分業ができていると感じた。

ベラボットの導入は、数値化こそできないものの、すでにスタッフの精神的な支えになっているのだろう。

スタッフ側にとってメリットが多いことはわかったが、お客の反応はどうなのか。