「ガスト」などを運営するすかいらーくグループは、この1年で7割の店舗に「配膳ロボット」を導入した。約3000台という大型導入には、いったいどんな狙いがあったのか。ロボット導入の責任者にライターの篠原知存さんが聞いた――。
ガスト 日本橋浜町店
ガスト 日本橋浜町店(写真=経済特区/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

ロボット配膳がもたらした新風景

1月下旬、取材の打ち合わせで、港区赤坂にある「ガスト」を訪ねた。都心部にある繁盛店ということもあり、ビジネスパーソンらしき一人客で昼下がりの店はほぼ満席だった。

「いらっしゃいませ」とスタッフに案内されて席に座ったが、そのあとは、注文はタブレット型端末だし、ドリンクはセルフサービス。食事はネコ型の配膳ロボットが運んできたものを受け取り、支払いはセルフレジで済ませた。

ロボット配膳がもたらした新風景といえよう。

気づいてみれば着々と進むオートメーション化。聞けば、私が立ち寄った「ガスト」や「バーミヤン」「ジョナサン」などを運営するすかいらーくグループは、昨年末までに、配膳ロボットを3000台配置したという。

すかいらーくホールディングスが目指すサービスはどういうものなのか。

「導入の目的は労働時間の削減ではない」

営業政策グループでロボット導入責任者を務める花元浩昭さんによると、すかいらーくグループでは、2021年から中国製のネコ型配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)」の配置を始めた。

「ガスト」「しゃぶ葉」「バーミヤン」「ジョナサン」の主要4ブランドでは、2021年11月からベラボットの本格導入を始め、2022年12月までに7割にあたる2100店に3000台の導入を完了した。わずか1年でこれだけのサービスロボットを導入する事例は前代未聞だろう。

製造業などでは、ロボットによって合理化や効率化が実現されるイメージが強い。だが、レストランのようなサービス業では、行き過ぎた合理化や効率化は、顧客離れを招きかねないのではないか。

そんな質問を投げてみると、花元さんから「DX戦略の目的は、労働時間の削減ではないのです」という答えが返ってきた。