熟考して出した結論は、妥協せずに貫く
学者と言っても、植田氏は机上の論に終始するタイプではない。85年から旧大蔵省の財政金融研究所の主任研究官を経験し、98年から日本銀行政策委員会審議委員を7年間務めた。数学から経済学へ転じて世界一流の教育を受け、実務でも研鑽を積んだ稀有な人材といえる。
彼の印象は、ずっと「ソフト・スポークンな人あたりのよい人」であるが、信念を曲げない強さもある。2000年8月の金融政策決定会合の議事録を読むと、ゼロ金利政策を終了するか否かが検討された議論で、速水優総裁(当時)が伝統的なプラス金利に戻す提案を行い、植田氏は中原伸之氏と反対票を投じている。
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