活動家たちのただならぬ切迫感
JSOやLGのメンバーの証言には、こうした環境的黙示録の傾向が散見される。2022年3月にプレミアリーグのピッチに乱入し、自分をゴールポストに縛りつけた20歳のJSO活動家は、ただならぬ切迫感とともに次のようなコメントを残した。「もし私たちが気候の制御を失うならば、そして私たちは今まさにそこに向かっているわけだが、私たちはすべてのものを、そしてすべての人を危険にさらすことになる」。
同年10月、モネの『積みわら』にマッシュポテトの粥をかけたLGのメンバーは、絵の前で次のようにアピールした。「人々が飢えています。人々が凍えています。人々が死んでいます。私たちは気候のカタストロフィの中にいるのです。(中略)あなたがたが耳を傾け、これまで通りのことを続けなくなる時はいったいいつ来るのでしょうか?」。
JSOやLGは、欧州やアメリカ、オーストラリアなどの9団体とともに、「A22ネットワーク(A22 Network)」という連携を作っている。このA22ネットワークの「宣言文」(2022年4月)も、徹頭徹尾、環境的黙示録の雰囲気に満ちている。「われわれは旧世界の最後の世代(Last Generation)である。(中略)旧世界は死にかけている。私たちは最後の時間のうちに、最も暗い時間のうちにいる。(中略)私たちがいま為すことが、この世界と次の世界の運命を決する」。
過去の環境運動でも見られた思想
いずれにせよJSOやLGのメンバーたちは、ある意味で「感受性」が強く、また「真剣」であるため、ただならぬ形で切羽詰まっている。この切羽詰まり感、危機が目前に迫っているという感情を、ここでは「窮迫性」と呼ぶことにしよう。
この窮迫性は最近になって見られるようになったものではなく、核実験反対運動から出発した初期の「グリーンピース」や、木に釘を打ち込むことで伐採コストを高め(伐採の前に一本一本調査が必要となる)、開発に抵抗するという手法で一世を風靡したラディカル環境団体、「アース・ファースト!(Earth First!)」の環境的選民思想などのうちにも見られた現象である。