ビジネスで目覚ましい成果を収めるにはどうすればいいか。ハイパフォーマンスコーチの岸昌史さんは「チームに『パーパス』『ビジョン』を掲げるだけでは意味がない。チームの目標達成に対して、個の自律性を持った行動をリンクさせる『仕組み』が必要だ」という――。

※本稿は、岸昌史『熱狂のデザイン 楽しく結果を出すチームのつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

青空背景に子供の手と紙飛行機
写真=iStock.com/takasuu
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強い「自己重要感」が、働く人の熱量を高める

チームの熱狂の根本にある要素は、本書の第1章で「人が輝く四つの条件」として挙げた「共通目的」「自己重要感」「自律性」「関係性」です。

「共通目的」は、みんなが同じ方向を向いて進むためのものです。第1章では個人の「ビーイング」「ビジョン」「バリューズ」を考えました。

本稿では熱狂するチームをつくるために、チームとしての「パーパス」「ビジョン」「バリューズ」の3つに分けて考えていきます。

単純に同じ目的を持てばいいというわけではなく、魂が揺れるほどの強い意義を感じられる目的が必要です。

そのためには、「なぜ自分たちのチームが存在するのか?」といった「why?」を定義する「パーパス」と、「チームとしてどのような未来を実現したいのか」を示す「ビジョン」に、メンバーが強く共感することが必要です。

メンバーがこの2つを自分事化することで、チームへの所属意識が高まります。

ただし、それだけでは実際の行動には繋がりません。日常の行動基準となる「バリューズ」に落とし込みます。

そうして目標に向かって進んでいく中で、自分がチームの役に立っている、チームが会社や社会の役に立っているという実感を得られます。そして、その過程で生まれる強い「自己重要感」が、働く人の熱量を高めます。

加えて、チームがうまくいくときも悪いときも、自分で考えて動く「自律性」が必要です。このためには「戦略と目標」、メンバーがどう動くかといった「役割」がメンバーにとって納得できるものでなければいけません。

そして、個の自律性を持った行動と、チーム全体の目標達成に必要な行動をリンクさせるためには、チームのルールとなる「仕組み」の整備が必要です。

これらの要素を決める前段階として、「関係性」を高めていきます。また、各要素をみんなで話し合って決めていくこと自体が、関係性を高めることにも繋がります。