答えのないゲームで直接否定はNG
もう1つのダメな説得ルートがあります。
世の中の「炎上」はこの説得ルートの先に存在します。
人は誰かを説得する時「相手の意見を直接否定する」ことから始めがちです。
皆さんの周りにもいますよね、ただただ相手の意見・アイデアを真っ先に否定・批判することから始める人たち。
今回の「40km!マン」の説得でいえば、こんな感じです。
友人「できた? 当然40kmだよね。簡単だよね」
あなた「いやいや、間違ってるよ。それ60kmに20kmを足してから÷2したでしょ。あーあ、それ完全に間違い」
否定から入り、最後まで否定する。
相手の意見を真っ向から「否定する」。
この問題は算数ですから「答え」があるので、さきほどと同じように、相手と圧倒的な信頼関係や力の差があれば通用します。
あなたは間違っていませんから。
しかしもし「答えのない」ゲームでこのような「完全否定」の発言をしたら「それは、アンタの意見だろ」となって議論になどなりません。
それどころか「炎上」するリスクが高い。
これではダメなのです。何せ、皆さんの戦場はもう「答えのないゲーム」なのですから。
相手の答えが成立する条件を先に提示する
ではどうすればいいのか?
A○がダメ、B×がダメと来たわけですから、救世主の登場です。
まずはこの「40km!マン」を「B○条件」を使って説得します。
友人「できた? 当然40kmだよね。簡単だよね(友人の意見B)」
あなた「なるほど、なるほど。もし、行き帰りで“同じ時間”走ったのであれば(Bが◯となる条件b)、÷2の計算式は正しいよ。だけど今回の問題はそこがひっかけなんだ。
距離は同じだけど、かかった時間は同じではないんだよね(条件bが成立しないことを伝えるa)」
このように相手の答えが成立する条件(b)を先に提示しつつ、その条件が成立しないから違う(a)ということを伝えるのです。
これが本稿で身につけてほしい議論の作法・B◯条件です。
答えのないゲームにおいての思考パスはこのルートを通るべきなのです。
A○でもB×でもなく、B○条件が良い議論をするためのキーポイントであると覚えてください。