自身の考えが正しいと思い込んでいる人を説得するにはどうすればいいか。経営コンサルタントの高松智史さんは「自分の意見を丁寧に説明したり、相手の意見を直接否定しても議論にならない。相手の答えが成立する条件を先に提示しつつ、その条件が成立しないから違う道筋を伝えるべきだ」という――。

※本稿は、高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

有名な「ひっかけ」問題を解くための思考法

さっそくではありますが、この有名な「ひっかけ」問題に目を通してください。

【問題】
行きは時速60kmで、ドライブに出かけました。
帰りは時速20kmでした。
同じ道ですが混んでいたのです。
往復での平均の速さは時速何kmでしょう。

せっかくですので、「5分」考えてみてください。

この5分を使って、とにかく解いてみてください。

手を動かし、アタマを動かしてから、読み進めるほうが圧倒的に進化できます。

ビジネスでも人生でもそうですが、「まずは自分でやってみる」というのは大事です。

やってみないとただの「批判家、批評家」になってしまいます。

さて、一応記載しておくと、[距離÷時間=速さ]です。

高速道路のトンネル
写真=iStock.com/hirohito takada
※写真はイメージです

では、問題の解説をしていきます。

皆さんの答えは時速何kmになったでしょうか?

答えは「時速30km」ですよね。

もちろん、問題文にあったとおり、「ひっかけ」クイズですから、20人に1人は、40km!

(60km+20km)÷2=40km! と答えてくれたはず。

その素直さは忘れないでほしいですし、なんなら人生はこのくらい素直なほうが上手くいったりしますが、正しい答えは時速30kmです。

本書は「答えのないゲーム」の戦い方を論じる本ですが、これは算数の問題なので揺るがぬ「正解」があります。

例えば距離を[120km]としましょう。

すると、行きは[120km÷60km=2時間]、帰りは[120km÷20km=6時間]で、往復[240kmで、8時間かかった]ということになり、往復での平均の速さは[240km÷8時間=30km]となります。