8日に開幕したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が大きな盛り上がりを見せている。

侍ジャパン初の日系人選手ラーズ・ヌートバー
写真=AFP/時事通信フォト
侍ジャパン初の日系人選手ラーズ・ヌートバー

大谷翔平(エンゼルス)の二刀流としての活躍、日系人選手ラーズ・ヌートバー(カージナルス)の全力プレー、メジャーも注目する“令和の怪物”佐々木朗希の快投など、4連勝で準々決勝進出を決めたプレイヤーたちの活躍も目立つが、もう一つ注目したいのが日本のファンの姿だ。

11日に行われたチェコ戦でも日本のスポーツファンは“素晴らしい”と垣間見えた瞬間があった。

この日先発を務めた佐々木が4回、7番エスカラの左足に死球を与えた場面。162キロの直球が左足に当たり悶絶しているエスカラに対し、佐々木も心配そうにその様子を見ていたが、エスカラがなんとか立ち上がって一塁へ向かうと観客から大歓声が起きたのだ。その後、一塁付近で足の状態を確かめるために全力で走るエスカラの姿を見ると、もう一度歓声が巻き起こった。これは敵味方関係なく、スポーツを楽しむことができる日本人ファンの姿勢の表れの一つでもあるだろう。

試合後にチェコのパベル・ハジム監督も「日本は世界一のチーム」だと侍ジャパンの強さに賛辞を送るとともに、「ファンの質も世界一」とコメントし、選手だけではなく観戦する人々に感謝の意を示した。

日系人として初めて侍ジャパンに招集されたヌートバーが素晴らしいプレーを披露できているのも、米国生まれの25歳を快く迎え入れる日本のファンがいたからというのもあるだろう。今ではヌートバーが登場した際の「ヌーーー!」コールも定番になってきた。

ヌートバー自身も攻守で活躍した10日の韓国戦の試合後にヒーローとしてお立ち台に上がると、「チームメートもファンのみなさまも受け入れてくれてすごい嬉しい。日本大好き、みんなありがとう!」と述べ、WBCの公式インタビューでも「東京ドームでは家にいるような気分になる」と日本のファンへの感謝を述べている。

米国の野球ファンも、こうした日本のファンの盛り上がりを好意的に受け取っているのが見て取れる。