老後の親子関係にはどんなリスクがあるのか。漫画『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家・弘兼憲史さんは「お互いに依存せず、独立した関係を保てるのが理想だ。子供をアテにするのも、子供に財産を残すのも、そこそこにしておいたほうがいい」という――。(第2回)

※本稿は、弘兼憲史『弘兼流 好きなことだけやる人生。』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

通帳を見ている親子
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50歳を過ぎてから直面する介護問題

好きなことを続けてお金に恵まれる生き方を目指す人にとって、クリアな親子関係は重要事項です。親との関係、子どもとの関係には、お金が介在することが多いからです。親との関係で50歳を過ぎてから増える問題は、やはり介護でしょう。

団塊世代の僕が75歳になるのですから、今、親の介護という問題に直面し出しているのは、50歳前後の団塊ジュニアと呼ばれる世代も多いでしょう。この本の読者にも多いことと思います。僕は、病院ではなく自宅で死にたいと思ってきたのですが、同じように在宅死や在宅介護を望む70代80代は増えています。在宅介護ということになると家族の協力がどうしても必要になってきますから、親と同居していなくても親の介護に関わることになる人が増えているということですね。

親の介護をすることになって、「介護をしなければいけない」と感じている人と「他人に任せず自分でやりたい」と思っている人では心構えが違いますから、ストレスの受け方が違うと思われるかもしれませんが、続けていけばどちらも大変なストレスになります。

介護はプロでも苦労する仕事ですから、助言を受けながら続けるとしても専門家でなければできることに限界があります。だから、「できる範囲で」という意識で、基本的にはプロの介護士に頼んで、家族は脇から協力するというスタンスがいいようです。