健康診断の数値を信じなくていい理由

「健康とは、健康診断などの数値が正常な人ではないか」と思う人もいるでしょう。

健康診断を受診した際、つい気になるのが自分の数値。果たして今年も正常値だっただろうか……とドキドキする方も少なくないはずです。そして、正常値でなかった場合は、焦って対策を取ってしまう。

しかし、この「正常値」についても、あまり気にしなくていいと私は思っています。なぜなら、健康診断などのデータも、その人が健康かどうかを証明する根拠となるかというと、はなはだ疑わしいものだからです。 

健康診断などにおける正常値や平均値という数値は、あくまで相対評価で決まります。

日本の健康診断は、「一般の人の平均」を中心に上下95%の人が「正常」とみなされ、この平均の上下95%よりも数値が高すぎる人や低すぎる人は「異常」とみなされます。しかし、「異常」とみなされた数値の人々の健康状態が悪いのかというと、必ずしもそうとは限りません。

数値が正常でも病気の人はいますし、数値が異常と判定されても健康体の人もいます。健康診断の数値が高すぎたり、低すぎたりしても、本当にその人が不健康かを示す証拠はないのです。

「異常な数値こそが正常」という可能性もある

日本で使われている様々な健康にまつわる数値は、こうした「平均値」を元に決められていることが多く、実はその信ぴょう性は必ずしも高くはありません。

それにもかかわらず、多くの医者や患者が検査データ至上主義になり、何かの基準値を超えると正常な範囲に戻すために薬を飲んだり、自分の病気を疑い不安がったりする傾向があります。それをいちいち病気として対処して、薬を飲んでいたらきりがありません。

和田秀樹『90歳の幸福論』(扶桑社)
和田秀樹『90歳の幸福論』(扶桑社)

また、人間誰しも、体が老化すれば不調が出てくるのは当然のこと。70~90代の人であれば、見た目は健康であっても何かしら病気や不調を持っているものです。数値の異常があっても、みんな元気に生きているのです。

むしろ、その年齢まで元気に生きてきたのであれば、その人にとっては「異常な数値こそが正常」という可能性もあります。

数値と医学に明確な関係性がない以上、ご自身の調子がいいのなら、ちょっと基準値や正常値からはみ出したとしても、さほど気にする必要はありません。そこで薬などをむやみに飲むほうが、体調を崩すリスクを秘めています。

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