どの国に資産を置けばいいか

あなたの資産をどこに置いておくか、しっかりと考えることも大切だ。現時点で私がおすすめするのは、スイス、ルクセンブルク、シンガポールだ。

スイスは金融国として古い歴史を持ち、現代においても保険の分野で重要な立ち位置にある。

金融の柔軟性という点では、ルクセンブルクも小国ではあるが、欧州内でロンドンやフランクフルトと並ぶ金融都市といわれている。

そしてシンガポールは、香港と双璧をなす金融独立国として歩んできた。香港は今後の情勢次第では資産を置きづらくなる可能性があるが、シンガポールはおすすめできる。

シンガポールのマーライオンが見える風景
写真=iStock.com/Jui-Chi Chan
※写真はイメージです

大変な状況を経験しないかぎり、リスク管理をそれほど真剣に考えないのは当然の心理だが、皆さんには是非とも歴史から教訓を得て、しっかりと備えてほしい。

たとえば1990年代、スイスが中央ヨーロッパ諸国に3%という低金利で住宅ローンを貸し付けた。チェコなど中央ヨーロッパの人々は喜び、スイスフランで住宅ローンを組んだが、その後スイスフランの急騰により自国の通貨が暴落。多くの人々が倒産の憂き目にあい、住宅を差し押さえられてしまった。彼らは金利や為替が急変することを理解していなかったのだ。

米国株投資は最善の手とは限らない

国に頼れない時代、自分の資産をどう運用し、どう増やしていくか。正しい知識を身につけることも非常に大切だ。

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あらゆる資産にはブル相場が存在し、急激に値上がりすることもある。しかし、永久に値上がりし続けるものは存在しない。あなたが20代で、投資を今からスタートさせたとしても、定年を迎えるまで価値が上昇し続ける商品はない。だからこそ、投資をするにはその都度、「今、投資すべきか否か」を慎重に判断しなければいけない。

投資には柔軟な発想力が必要だ。

私たちは今、激変の時代を生きている。かつて正しいと思われていたことでも、評価が一変することがあるだろう。

最近日本には「米国株投資」ブームが訪れ、将来に備えて米国株式投資を始める人が増えていると聞く。過去30年間の株価の推移を見て「ベア相場が時々あるが、基本的には上がり続けている」と思うかもしれない。

しかし、この考えは「金利」という重要な点を見落としている。金利は、1980年以降下がり続けているため追い風になっているように見えるが、このような状況は永久に続くことはない。

私自身も数十年前から米国株を保有しているが、皆さんには「これまで長期間で上がり続けてきたのだから、今後も上がり続けるに違いない」などと、短絡的な発想に陥らないようにくれぐれも注意してほしい。

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