初めて目にするタイプ問題を楽しめるか

こうして見ていくと、従来の知識型の問題とは大きく問題傾向が変わってきていることが分かる。ただ、開成中の入試問題は問題傾向やレベルが大きく変化することに注意が必要なのだが……。

このように導入やヒントにあたる小問から始まり、だんだんと深く考えさせる問題を出した中学校が今年は特に多い。

では、なぜそれを入試で行うのか――。

入学後そういう姿勢で授業に臨んでほしいからだ。つまり、入試はその学校の最初の授業なのだ。

試験場
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塾で習った知識を丸暗記し、「この問題のときはこう」とパターンに合わせた型だけを覚えて解いてきた子はもういらない。それよりも自ら理解し考えようとする意欲を持った子に、うちの学校の授業を受けてほしい。なぜなら、そういう子が、入学後にグングンと伸びていくことを知っているからだ。各学校のそんな思いが、今年の入試から読み取ることができた。

難問・奇問はもう出ない

塾の学習によって得られる受験スキルと、その場の対応力が必要となる骨太の学力。両者のバランスが、変わり始めている。知識と熟練が重視されていたこれまでの入試は、塾の指示通りに勉強を進めていけばよかったが、近年の入試では、難問・奇問はすっかり姿を消し、受験スキルはそこまで求められなくなった。そういう点では、入試問題自体は易化傾向にあるといっていい。

代わりに増えたのが、いわゆる思考系問題を解く際に必要とされる骨太の学力だ。骨太の学力とは、さまざまな条件が書かれた文章を整理しながら読み解く力であったり、手作業から考える糸口を探すといった書く力であったり、知識や経験を組み合わせて考える応用力だったりする。こうした力はある日突然身に付くものではなく、学習のプロセスで培われていくものだ。また、僕(私)にはできるはずだという自己肯定感がなければ、なかなか育ちにくい。

そして一番困るのが、それをどうやって身に付けていけばいいか誰も教えてくれないことだ。塾は受験のスキルは教えてくれるが、骨太の学力を身に付けるための指導は難しい。問題傾向が変わってきていることは塾側も十分わかっているが、良質のカリキュラムの提供にとどまらざるを得ない。だから「そこはご家庭でやってください」と家庭に丸投げするしかない。家庭の役割は、「何をやらせるか」から「どのようにやらせるか」に変化しつつある。これが、今の中学入試なのだ。