乗客は恐怖に震えた。英デイリー・メール紙は、「An-26が離陸中に後部の床を開き、乗客25人に恐怖を与えた」「彼らがかぶっていた帽子は飛ばされ、ぽっかり開いた穴に消えていった」と報じている。

ロシアの航空機 An-26
ロシアの航空機 An-26(写真=RUSSIANPLANES.NET/Igor Dvurekov/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

航空機は一般に25年程度で引退となるが、同紙によるとロシア政府寄りのウェブサイト「Life.ru」でさえ、当該機は製造から43年が経過していたと認めている。

事故当時の様子を収めた動画を、ウクライナ内務省顧問のアントン・ゲラシュチェンコ氏がTwitterでシェアしている。

動画は飛行中の機内後部から乗客が撮影したものだ。後部ドアが開きごう音が響くなか、機内に結ばれた布が強風に翻弄ほんろうされ激しくはためいている様子を確認できる。

ゲラシュチェンコ氏は「ロシアン・ルーレットの新たな名前……『ロシアン・プレーン(飛行機)』?」と投稿に書き添えた。ロシアで安全な機に乗れるか否かは、あたかもロシアン・ルーレットのように運頼みになっているとの指摘だ。

軍用機がマンションに突っ込み13人が死亡

不幸な事故は絶えない。北極圏では同日、小型機が墜落した。ロイターによるとロシア非常事態省は、北西部ネネツ自治州にて、乗員乗客12人を乗せたAn-2旅客機が墜落したと発表した。この事故で2人が死亡している。

モスクワ・タイムズ紙によると、1月10日までの6日間だけで、少なくとも8件のインシデントが生じている。前掲のドア解放事故および2人死亡の墜落事故に加え、滑走路からのオーバーラン2件が発生したほか、フロントガラスの破損、ギア(着陸装置)の格納失敗、空調の故障、そしてラバトリー(トイレ)の故障に見舞われた。

機体のメンテナンスのみならず、路線の維持にも支障が生じている。デイリー・メール紙は、燃料不足により一部路線の運行を見合わせていると報じている。

軍用機では昨年10月、南西部エイスクの街にて、複座式戦闘機のSu-34(スホーイ34)がマンションに墜落した。パイロット2人は墜落前に脱出したものの、英BBCは少なくとも墜落先のマンションで住人13人が死亡したと報じている。

ロシアの戦闘機 Su-34
ロシアの戦闘機 Su-34(写真=Airliners.net/Alex Beltyukov/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

民間機にも不具合が続出

事故により、9階建てマンションなど2棟が焼ける大火災が発生。68人が現場から救出された。パイロットは離陸中にエンジンから出火したと証言しており、当局はこの火が墜落後、燃料に燃え広がったとみている。

さらに、そのわずか1週間後には、Su-30戦闘機がシベリアの住宅街に墜落した。

Su-34、Su-30両機はウクライナでの戦闘に関与しておらず、被弾しての墜落というわけではなかった。米インサイダー誌は、前者の事故調査では初期段階の報告書において「航空機の技術的不具合」が指摘されたと報じている。