自分にしかできない「コンプラ緩い芸人」

――テレビ出演では体を張る企画が多いように思います。つらくはないのですか?

最近はバラエティ番組のコンプライアンスも厳しくなりましたが、「クロちゃんだけいろんなひどいことされてるね」「クロちゃんだけコンプライアンス緩いよね」って言われるようになりました。

それってつまり自分にしかできないことがあるということなので、嬉しくもあります。

僕、前に「クロちゃんはあと10年早くテレビに出ていたら大スターになっていた」って言われたことがあるんです。僕より上の世代で言うと、ダチョウ倶楽部さんとか出川哲朗さん、もっと前だとたけし軍団のみなさんとか、過激なことをやって体を張って人気者になっていた芸人さんがたくさんいたんですよね。

僕自身、そうやって体を張ることは嫌だったんですけど、そう言われたのがすごくショックでした。でも今は、自分がドッキリを仕掛けられたり、24時間部屋を監視カメラで監視されたりっていうことをしているのは、「なんでだよ!?」って思う反面、すごく嬉しいんですよね。「他の人だとダメだけどクロちゃんなら大丈夫でしょ」みたいになるのはある意味でおいしいですし。

あと、そうやっていやいやながら体を張っていく中で、だんだんそういうことが好きになってきたんです。だから今後もそういうことはしていきたいと思って、体だけは鍛えています。

今では体を張ることもすごく好きになりました。

お笑いトリオ「安田大サーカス」のクロちゃん
撮影=門間新弥

与えられたこともやれない人にチャンスはない

――とはいえ、もともとはアイドル志望。やりたくない仕事を続けるのはつらくなかったのでしょうか。

僕は「売れたら好きなことをやらせてあげるから」っていう口車に乗せられてこれまでお笑いをやってきました。もちろん、内心は嫌なこともたくさんあるわけです。まあ、それは今もですけど……。

でも、たとえそれがやりたくないことでも、自分が与えられたことをできなかったら、次のチャンスはもらえないと思っているんです。人間誰しもやりたくないことをやっているでしょうし、世の中でやりたいことだけをやり続けられる人なんていないはず。僕は、やりたいことをやれない状況にある意味の諦めを持ちつつ、そこで与えられた役割を一生懸命にやるように頭を切り替えたんです。