政治の腐敗が明るみに出始めた

では、もし、ロシアが敗北しなければ、西側はいつまでウクライナを支援するのか。

それよりも、ウクライナは本当に民主主義国なのか。実際には、ウクライナがこれまでそれほど立派な民主主義国であった試しはなく、国民は常に政治家の腐敗に苦しみ、組織的犯罪グループは西側諸国にも被害をもたらしていた。しかし、ゼレンスキー氏の勇猛なビデオパフォーマンスはそんな疑問をすべてうやむやにし、ウクライナは今や立派な民主主義国になっている。

ただ、ここに至り、そろそろ彼らの金メッキが剝がれてきた感はある。ゼレンスキー氏は目下のところ、腐敗している政府幹部の掃討に励んでいるが、そのスキャンダルがいずれ大統領自身に及ぶ可能性も取り沙汰され始めた。氏を背後から操っている勢力からすれば、極端な話、ウクライナの大統領のキャストなどいつでも交換可能なのかもしれない。

そのせいか最近は、氏がいくら悲壮な顔つきで叫んでも、伝わってくるのは「武器をよこせ、資金をよこせ」という要求だけで、戦争が生死に関わる深刻な案件であることや、ウクライナの国民が厳寒の中で苦しんでいることはほとんど伝わってこない。

決然と話せば話すほど軽さが滲み出る

一方、ベアボック氏のほうも、世界のあちこちで勇敢に人権擁護を叫んでいるだけで、外交の成果は希薄、あるいは皆無であることに皆が気づき始め、最近では、氏が決然と話せば話すほどその軽さがにじみ出る。国際会議ではパフォーマンスに夢中で、自分の周りにいるのが各国の政治のベテランであることさえわかっていないようだ。意見調査の大手INSAの最新アンケートでは、人気順位は4位から8位に転落した。

今回の失言も、まさにその素人外交がもたらした不始末であり、こんなことが繰り返されるとドイツの国益が損なわれる危険さえある。この複合的な危機の時代、ドイツ人が最も警戒すべきは、ベアボック氏の外務大臣としての素質ではないか。

外相の任務とは、過激な環境保護団体と共に、国益など顧みず、「脱原発! CO2削減!」と叫んでいた野党時代のそれとは訳が違う。しかし、ベアボック氏はいまだに地政学も国益も無視したまま、かつて原発を糾弾したのと同じく、今はロシア糾弾に没頭している。しかし、「ロシアからは金輪際ガスは買わない!」などと叫んだも束の間、国内ではエネルギーが逼迫ひっぱくし、産業が国外脱出を検討し始めた。

それはそうと、日本はウクライナにすでに200億円近い借款を行っている。はたしてそれは、私たちが支援したいと思っている人たちの元に届いているのだろうか。

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