どうやって強盗に入る家を決めていたのか
関東地方を中心に強盗事件が続発している。被害は、関東圏にとどまらず、広島や山口など西日本でも出ている。
複数人で民家へ侵入し、住民を縛り上げ、暴行したうえで現金を奪うといった荒っぽい手口や、「高齢者が一人で暮らしている家庭」や「高級品を購入している顧客」が狙われるなど、犯行が酷似しており、同様の事件は全国で少なくとも30件以上確認されている。
犯行に加担した実行犯は、関与を疑われている者を含め、10~30代の30人以上が、既に逮捕されている。「ルフィ」や「キム」と名乗る人物がフィリピンから指示を出していたとみられている。
彼らはいったいどのようにして強盗に入る家の情報を得ていたのか。
筆者は、今回の事件(以下、本件)について、元暴力団で特殊詐欺事情に詳しい土井氏(仮名)に取材した。
土井氏によると、本件は、裏社会でも話題になったが、決して評価できるものではないという。
プロではなく素人による犯行と考えるワケ
――今回の一連の事件をどのように見るか。
【土井氏】今回の仕事を見て、仕事が粗いので「素人」の仕業と思いました。
まず、彼ら実行犯はカメラを意識していない。次に、逃走車両についても、足がつくレンタカーを借りているし、ナンバープレートも天ぷらナンバー(偽造プレート)にしていない。
後のことを考えていないから、逃げ方も雑ですね。熟練されたプロであれば、現場に行くとき、消火器の2本くらいは用意して行く。車を乗り捨てるのなら、車内に消火器をぶちまけて逃げるのは基本(証拠を消し、捜査をかく乱するため)。
ヤクザが仕事するときは、いかに(被害者を)殺さないようにするかということに気を使うが、この事件の実行犯は高齢者を殺害している。これは、素人が勢いでやっているように見える。勢いで自分が興奮して、気がついたら殺していた――みたいな感じですね。
――ルフィや指示役は犯罪のプロではなかったのか?
【土井氏】犯罪がプロかどうかは、そうした痕跡を見ればすぐにわかるものです。自分たちも若い時に仕事して、必要なものと不要なものを学習していました。
犯罪における役割なども、向き不向きで自然に決まるもの。今回の事件のように、「闇バイト」で即席に集められた烏合の衆では、まずいい仕事はできないでしょう。