必要なときに輸血を受けて、可能な人は献血を!
輸血には、献血された血液だけではなく、自己血輸血という方法もあります。自己血輸血には、手術前に自分の血液をあらかじめ採取して貯血しておいたり、手術中に出血した血液を回収して洗浄後に患者さんの血管内に戻したりします。
将来は、輸血の代わりになる技術ができるかもしれません。再生医療の目標の一つが、血小板や赤血球を造ることです。iPS細胞をはじめとした多能性幹細胞は、さまざまな細胞に分化する能力を持っており、原理的には赤血球や血小板にもなり得ます。血小板や赤血球を安価に大量に造ることができれば献血に頼らなくてもよくなります。まれな血液型に対応した多能性幹細胞をつくれば、まれな血液型の献血者に急にお願いをする必要がなくなります。「輸血は受けてはいけない」と信じている人がこうした技術すら拒否して海水の点滴を受けたいかどうかにはちょっと興味があります。
輸血や血液製剤はこれまで多くの人の命を救ってきました。輸血が必要なときは、多かれ少なかれ、命の危険があります。デマにだまされて輸血を拒否したりせず、命を守るために必要な治療を受けるようお願いします。
最後に、読者の中にはこれまでに献血をしてくださった方もたくさんいらっしゃるでしょう。そのおかげで、多くの患者さんの命が救われています。本当にありがとうございます。機会があれば、ぜひ今後も献血へのご協力をお願いします。