「自分に」興味を持ってもらう意識を持つ
2つ目の心構えが、自分に興味を持ってもらう意識を持つことです。
人は、興味のない話を聞くことに苦痛を感じます。話の内容か話し手に興味がなければ、よほど別のメリットがない限り、話を聞いてくれません。
しかし常にメリットのある話をしたり、内容を興味深くしたりすることは、プロでも大変です。あなたがあなたらしく自然に話すことで、あなた自身に興味を持ってもらう。そうすれば、あなたが好きな話をしているだけで、聞き手は喜んで聞いてくれます。
特に近年は、どんな情報もインターネットで入手できるようになり、一個人だけが知っているような情報は、ほとんどなくなりました。
伝えられる情報の内容に大差がなくなってくると、人は次第に「何を話すか」よりも、「誰が話すか」を意識するようになります。
得られる情報に違いがないなら、自分が興味を持つ人の話を聞きたい──。そう考える人が増えているのです。
実際、Voicyで人気のパーソナリティを観察してみると、その人しか知らない特別な情報にファンが付いているというよりも、話し手が魅力的で、その人柄に魅了された人が、リスナーとして継続的に番組を聞き続けています。
あなたが話を聞いてもらいたいなら、まずは自分に興味を持ってもらうこと。それが自分にとっても話をしやすい環境を作るのです。
そのためにも、人に興味を持ってもらうという意識を持って、会話のスタートラインに立ちましょう。
「話を聞いてくれる」のは当たり前ではない
3つ目の心構えが、自分が話している間は、相手の時間を奪っているという意識を持つことです。
相手があなたの話を聞いてくれるのは、当たり前のことではありません。もし、あなたの話がおもしろくなかったり、役に立たなかったりすると、聞き手にとってあなたと話した時間は、人生のムダ遣い。あなたが話せば話すほど、聞き手は「時間を奪われた」と思ってマイナスの印象を抱くでしょう。
あなたが話すということは、相手の時間を奪っていること。ならば、少しでも相手が「時間を奪われた以上に、聞けて良かった」と思うプラスの価値を提供しようと意識しましょう。
「自分は聞き手の時間を奪っていないか」。そんな意識を持つだけで、会話の内容は大きく変わってきます。
話し手側に、「相手は時間を割いて自分の話を聞いてくれているんだ」という謙虚な姿勢があれば、話をおもしろくしたり、心地良くしたり、工夫しようとする気持ちも強まります。
僕は関西出身ですが、話に対する意識の高い関西人の多くが、「自分の話を聞いてもらいたい」と思う一方で、おもしろくない話をすることには強い罪悪感を抱いています。自分の話がおもしろくなかったり、ダラダラと抑揚のない話に長く付き合わせたりすることは罪深いとさえ思っています。
関西人は話している途中でよく「……あ、この話はオチがないからやめとくわ」などと言います。その言葉にも、そんな価値観が表れています。