配達担当スタッフが配る弁当の数は一人当たり350~450食で、これも同業他社の倍です。並行して配達担当者が新規顧客の開拓や、お客様から弁当の感想や競合他社の動向を聞き出す営業活動も行なっている。玉子屋には営業部というセクションはありません。配達スタッフが営業マンであり、マーケティング担当でもあるのです。

設備にしても人材にしても、会社の資源を効率的に活用する。無駄を少しでもなくしていく。それが利益の源泉であり、仕込みにお金をかけられる理由であり、玉子屋の弁当の美味しさの理由なのです。

玉子屋の配達担当スタッフは一人当たり350~450食、同業他社の倍の数を配送する
画像提供=玉子屋
玉子屋の配達担当スタッフは一人当たり350~450食、同業他社の倍の数を配送する

千切りキャベツがシャキシャキな理由

食材の調達は日本全国、世界各国から行なっています。と言っても大手企業のように自前の調達部隊を抱えているわけではなく、仲卸しの業者などに仕入れを委託しています。

たとえば野菜の仕入れを委託している業者は沖縄から北海道まで日本全国の生産者を知っているので、季節ごとにベストな野菜を産地から直接買い付けてくる。玉子屋のメニューの内容も使う野菜の量も事前にわかっているので、そこから逆算して食材を買い集めて納品してくれる仕組みになっています。

同じキャベツでも沖縄から北海道まで産地が徐々に北上していくので、「今日使っているキャベツは愛知県豊橋産」などとホームページ上で産地を紹介しています。

普通、収穫したキャベツは集荷場や市場を経由して1週間ぐらいでスーパーなどの店頭に並びます。しかし玉子屋では流通をカットして産地から直接買い付けますから、収穫したキャベツが3日後には弁当に使われる。

市販の日替わり弁当で千切りキャベツが入っていることはあまりありませんし、お飾り的に入っていても水分が抜けてしなびていることが多いのですが、玉子屋の弁当の千切りキャベツは昼になってもまだシャキシャキとしてみずみずしい。鮮度がいいからです。

玉子屋自慢のシャキシャキとしてみずみずしい千切りキャベツ(おかずの中央)
画像提供=玉子屋
玉子屋自慢のシャキシャキとしてみずみずしい千切りキャベツ(おかずの中央)

野菜の仕入れを委託している業者は漬物工場も持っているので、白菜や小松菜などの一夜漬けもつくってもらっています。採れたて野菜の一夜漬けが朝イチに納品されて、その日のうちに弁当に使われています。

肉専門のカット工場でコストダウン

肉に関してはもともと玉子屋に肉を卸していた業者が廃業することになって、そこの跡取りが玉子屋に社員として入社しました。

彼は肉の産地や流通ルートをよく知っているので、肉の仕入れ部門を任せています。同時に、本社に肉専門のカット工場をつくりました。日本国内だけではなく、世界中から良質な豚肉や鶏肉を仕入れてきては、肉専門のカット工場でメニューに合わせて肉をカットしたり、スライスして調理の下拵えをしています。

野菜も肉も、とにかく流通をカットし、直に買い付けるようにしているので、コストダウンができるのです。