相手の心を開くにはどうすればいいのか。テレビ東京制作局企画委員の田淵俊彦さんは「言葉が通じない相手とのコミュニケーションでは、モノが通訳になってくれる。その人が愛用し、自慢するモノを丁寧に撮影し、由来をしっかり聞くことで、秘境の人々も心を開いてくれる」という――。

※本稿は、田淵俊彦『弱者の勝利学』(方丈社)の一部を再編集したものです。

「ナガランドの首狩り族」の首飾り

ヒマラヤ山脈東部に位置する、インドのナガランド州に住む人々は、かつて首狩りの風習を持っていました。

ナガランド州に住む人々は首狩りの風習を持っていた(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/davidevison
ナガランド州に住む人々は首狩りの風習を持っていた(※写真はイメージです)

首狩りと聞くと、「野蛮」だと思われる方が多いかもしれません。

ただ、少なくともナガランドでは、首狩りは勇敢な行為だと考えられています。

敵陣に乗り込んでいき、相手の首を狩った者は、勇者として称えられます。刈った首が多いほど勇敢なのです。

また、強い戦士の首を狩ると、魂が乗り移って強くなるとされています。

私がナガランドを訪れた当時、首狩りの風習はすでにありませんでしたが、彼らが身につける首飾りに、その名残を見ることができました。

ナガランドには、人間の頭蓋骨をかたどった真鍮しんちゅうの首飾りを身につけている人がたくさんいます。

それはずっしりと重たい首飾りで、頭蓋骨の数は、その人がかつて狩った首の数をあらわしています。

この首飾りをしている人に出会うと、みな畏敬いけいの表情を浮かべて道端に寄り、道を譲るような仕草をするのです。