思い通りの絵を描く「画像生成AI」

私たちがAI時代に突入しつつあることは確実でしょう。それが証拠に、2022年の後半に入ってからAIへの注目度が再び高まってきました。というのも、「画像生成AI」が流行しているからです。これは「乗馬する宇宙飛行士の写真」などと言葉を入れると、図表2のような画像を作ってくれるAIです。

「Stable Diffusion(※5)」という画像生成AIは、2022年8月に無償で公開されて以降、SNSの私のタイムラインでは話題にのぼらない日はないくらいです。

派生的なソフトウェアやサービスもいくつか作られており、LINEで「お絵描きばりぐっどくん」というアカウントをフォローすると、簡単に画像を作らせることができます。例えば、「ゴッホが描いた東京タワー」と打ち込むと、図表3のような画像をすぐに生成してくれます。みなさんもぜひ試してみてください。

(※5) Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン) 2022年8月に無償公開された描画AI。ユーザーがテキストで指定したキーワードに応じて画像が自動生成される。ディープフェイクの作成に使用できるとしてAI倫理の観点からの懸念も示されている。

2013年に登場した「AIが仕事を奪う」論

大学でAIを学んでいた身からすると、今のAIは魔法のようです。「これ作って、あれ作って」などとお願いすると、デジタルコンテンツに限ってはなんでも生成してくれるようになりつつあります。

そんなAIの進歩を目にして、「人間の仕事を奪うのではないか?」というAI失業論が再燃しています。最初にAI失業論の起爆剤になったのは、2013年にオックスフォード大学研究員のカール・フレイさんと准教授のマイケル・A・オズボーンさんが発表した「雇用の未来」という論文です。

そこでは、702もの職業について、10~20年後にコンピュータなどによってオートメーション化されて消滅する確率をはじき出していて、レジ係やタクシーの運転手が消滅しやすい職業として挙げられていました。