なぜカウンセリングで夫婦の生い立ちを聞くのか
なぜカウンセリングで夫婦それぞれの生い立ちを聞くことが大事なのか。疑問に思う方もいると思います。でも実は生い立ちには、とても多くの情報が隠されています。
私たちの今の性格や人との付き合い方などは、生い立ちに大きく影響されています。つまりは親との関係、兄弟姉妹との関係、家族での過ごし方、学校での友人との過ごし方。それが私たちの考え方、感じ方、どんなことで傷つくか、どんなことが嬉しいかなどの性格の根幹を形成しているのです。
「私の生い立ちなんて平凡で、話すことなんて特にありません」と多くの方はそう言いますが、話し出してから私が「お母さんとはどんな会話をしていましたか?」などと質問すると、「あ、思い出した」と次々エピソードが出てきて、長い人だと2時間近くかかります。自分自身の人生の振り返りにもなり、「子どもの頃ってこんな風に思っていたんですね」と驚く方もいます。
中でも一番大事なのは、親との関係と言えます。お父さん、お母さんはどんな人だったか、放課後は誰と何をして過ごしたか、土日は家族でどんな風に過ごしたか、食事場面はどんな様子だったか。「そんな些細な」と思えるようなことが今の自分に大きな影響を与えていることは皆さんにとって驚きかもしれません。
幼少時に親から傷つけられた経験が影響する
人間というのは、生まれてからしばらくはほぼ親としか接しません。それが親戚や親の友達、保育園や幼稚園の先生、友達と広がっていき、同年代との関わりが中心となっていきます。人生のスタートからしばらくは親としか関わらないのですから、親との関係が現在の人間関係のべースとなっているのは当然なのです。
親からの影響はもちろん、良いものだけではありません。自分では気づいていなかったけれど、親から傷つけられた体験は誰にでもあるもの。思い出せるものも皆さんきっとあるはず。ではそれは今の自分にどんな影響を与えているのでしょうか。大人になった今では、もう残っていない、そう思っていても実はまだ傷として残っているかもしれません。