このほか、通信費や交通費も減らせる見込みがある。

やり繰り費では食費の削減が中心になる。50代夫婦の食費は外食費込みで6万円あれば充分。年齢的に見て保健医療費はこれから増えるだろうが、とりあえずは手を付けないでおこう。

浮いたお金は貯蓄に回して老後の備えを増やすことに全力をあげる。月々の貯蓄は3万5000円増やして5万5000円に。年間では66万円、60歳までの7年間では462万円の貯蓄ができる。退職金を住宅ローンの完済に充ててしまったので、老後資金は自力で用意するしかない。Gさんは金融機関勤めなので世間一般に比べて年金額は多いはずだが、今の年齢で転職して、年収が半減した場合はどのくらい減額になるのか。この点も事前に調べておく必要がある。

ボーナスが5分の1に減るため今までのように68万円の貯蓄はできないが、ボーナス分の住宅ローンと教育費が消えるので33万円は確保できる。収入は5分の1に減っても貯蓄は2分の1減で済むわけだ。もし7年間33万円貯め続けることができれば231万円で、毎月の積立分と合わせて合計693万円になる。

しかしGさんにとってベストな選択は、すぐに希望退職には応じずに、状況が許す限り現在の職場に残ること。その間に子どもたちの独立を促し、同時に年収が下がる前から年収600万円の生活(住宅ローン返済が加わるので実際には900万円程度の支出になる)を実践して、とにかく貯蓄を増やすことである。高収入高支出の生活に長年漬かっていると節約生活に慣れるのにも時間がかかるので時間稼ぎは必要だ。

それに今は希望退職に応じて再就職できたとしても、そこで再リストラされるリスクがあるので、できれば現状を維持したい。