藤川太のアドバイス
家族の生活がかかっている男の進退は格好で決めるものではない。充分に退職後のプランを練ることが重要である。
一度高くなった生活レベルを下げることは容易ではないが、Gさんは高収入なのに月々の貯蓄が2万円しかできなくて不安に感じていること、質素な生活を覚悟していること、妻も同じ気持ちでいることから、生活のリセットと再構築は比較的容易にできそうだ。
退職するうえで障害となるのは就職しようとしない2人の息子が“寄生”していること。就職に失敗した上の息子はフリーター暮らし、下の息子は大学院に進学したいと言う。
では住宅ローンを完済することで実現できる年収600万円の家計とはどのようなものか。この家計は将来の年金生活のリハーサルの役目も果たす。
まずやるべきは子どもたちを独立させること。永遠に“寄生”することはできないのだから、金融機関を退職することで2人を養う余裕がなくなることを説明しよう。
理想はフリーターの息子には正社員の仕事を探させ、大学院に進学したい下の息子には奨学金を得たりアルバイトをして自分の面倒は自分で見るように仕向けることだが、子どもたちだっていきなり放り出されては路頭に迷うだけだろう。当面は自立を促しつつも同居を許し、その代わり一定額の生活費を入れさせるといった妥協案も用意しておこう。
仮に夫婦2人の生活になることができれば、固定費と日々のやり繰り費の両方を大幅に削減できる。
まず退職金で住宅ローンを完済したので月々の支払い分の18万円がなくなる。おかげで月給が半減しても生活が成り立つわけだ。
子どもが自立すればむやみに夜更かししなくなるから水道光熱費も減るはずだ。教育費はもちろんゼロに。ちょこちょこと子どもたちに与えていた小遣いも不要になる。
保険は子どもが成人して巣立って役目が終わったので、必要なものを残して解約する。今後は妻の生活さえ保障されればいいので、少なくとも死亡保障は大幅に削減できる。これで計28万円も削減できる。