「社長が稼いだカネを社長が使って何が悪い」
なんとも皮肉な話だが、経費を私的なことに使い込んだり、時代錯誤的な豪遊をする経営者というのは、業績的には「結果」を出しているケースが少なくない。
例えば、ゴーン氏もいろいろな批判はあるが、約2兆円の有利子負債を抱えて破綻寸前の状態に陥った日産をV字回復させたのは動かし難い事実だ。そして、今年9月に解任された鴇田氏もその8カ月前には、自身の経営手腕をこのように誇らしげに語っている。
「業績はこの10年間で売上高12%増、営業利益42%増となった。ここ3年間はいずれも過去最高を更新し、今期も同様の状況にある」(静岡新聞22年1月18日)
先ほど紹介した中小企業の3代目社長も、社員が「私物化」に対して不満を抱えていることを伝えたら、吐き捨てるようなこう言っていた。
「親父の代に比べて、会社をここまで大きくしたのは誰だと思っているんだよ、あいつら。何もしないで文句ばっかり言いやがって。社長が稼いだカネを社長が使って何が悪いんですかね。会社が成長するには必要なものでしょ」
「結果も出すが、金遣いも荒い」経営者の末路
このように「結果も出すが、金遣いも荒い」という経営者は、株主がいないオーナー社長の中小企業などではかなり多いが、「昭和ノリ」が残る古い体質の大企業などでもたまに見かける。
そして、こういうトップはライバルが引きずり下ろそうとしても、業績不振などを理由に解任できないのでどうしても、「スキャンダル」を見つけて追い出すしかない。女性問題、ハラスメント、反社会勢力との関係、そして経費の使い込みなどの証拠を掴んで、取締役らがクーデターを仕掛けていくのだ。TOKAIの社長解任劇も同じような構図だった可能性もある。
今回ご紹介した3つの条件を満たしていても、「使い込み」などと無縁な清廉潔白な経営者も多いだろう。ただ、これまで問題になった人たちを見ると、こういう「傾向」があるのも事実だ。
皆さんがお勤めの会社の社長はどうか、ちょっとチェックしてみてはいかがだろうか。