罪悪感は薄れていき、どんどん深みにハマる

これはエピソードとしては思わず笑ってしまう事件ですが、このように現実に万引き家族は存在します。幸いなことに件数自体はそれほど多くありません。それでもどこかの家のリビングで「この時はこうして、おまえはこうして……」という万引きの打ち合わせが行われていたということを想像すると暗澹たる想いに包まれてしまいます。

《日南休実の“本音”解説》

貧困や経済状況の悪化から子どもを引き込んで万引きを行い、最初は家計の足しにしていたのが、いつしか一家の恒例行事になってしまったという例は数多くあります。

そもそも万引きは単独で犯すより、複数で役割分担した上で行う方が成功率が上がるもの。夫婦・子どもを含め、家族やきょうだい、恋人同士、友達同士など、気心の知れた者同士が一線を踏み越えて悪事を共有すると、そのコミュニティの結束が強くなるという現象が起こります。そんなコミュニティが一度成功の味をしめると、最初の罪悪感は薄れていき、どんどん深みにハマっていくというわけです。

私はある時、若い母親が幼稚園くらいの年の子どもに店内でお菓子の袋を開けて与え、そのまま店を出ていくという場面に遭遇しました。私はその時、この子どもが親になった際の“万引き無限ループ”の光景が目に見えるような気がしました。
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