継続は大変そうだが、逆にいえば、「毎日コツコツ続ければ、どんな子も必ず身につくのが計算力」。最初のうちは、厳しい試練と感じられるかもしれないが、続けるうちに計算力が一気に上達する瞬間がやってくる。子供の脳の「エンジンにターボがかかった」状態になるというのだ。そのとき感じる達成感は、きっと算数力アップのバネになるはずだ。
中学以降は授業内容が急増し、計算練習だけに集中する時間は取りにくくなるので、できれば小学生のうちにしっかり習得してほしい。
また、計算が得意だという子も、補強の意味で桁数の多い数字に慣れておくことが大切だ。というのは、小学校の計算で出てくる数字は、小数ならばせいぜい小数点以下2位まで。これを小数点以下4、5位の数字のまじった計算もできるようにしておくといいだ
ろう。
計算の原理原則は変わらなくても、桁数が多くなっただけで子供は難しく感じ、計算ミスも多くなる。しかし、学年が進んで理科の実験や社会科の統計で結果を求める計算などを行うようになると、桁数の多い数字や割り切れない数字が頻出する。算数だけでなく、他の教科にも波及するだけに、慣れておくに越したことはない。
中・高・大学入試はもちろん、近年は就職試験でも計算問題はさかんに出題される。また、社会へ出ても、「ビジネス書の世界で算数本ブームとなっているように、どんな職業も数字が基本」(富永氏)。「計算力」は一生ついて回る力なのである。
(市来朋久=撮影 中瀬純一=スタイリング 進学塾VAMOS=監修)